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スイドリームス、きえる

 

朝、起きて体重を測ったら56キロだった。

おおよそで自分の身長は160センチぐらいだろうと

当たりをつけているので標準体重にはなったと思う。

見た目は変わらないから、もう少し痩せたい。

痩せたからといって何もないけど。

 

香水を捨てた。

たぶんもう使うことはないだろうし、

夢から覚めないといけない。

 

ほとんど眠らないで出掛けた。

新橋と渋谷へ。

久しぶりにネクタイを締めてスーツを着た。

そこまでのことではなかったなと今は思う。

 

新橋に向かう途中で上野を通過する時、

捨てた香水の匂いが躰に残っていたので

初めて会った日のことを思い出してしまった。

待ち合わせは別の駅だったけど、

見つけて嬉しそうに小走りで駆け寄って来てくれた姿を

どうしても反芻してしまう。

ジャケットを奮発して新調したのだけれど

当日は寒かったのでコートで出掛けた。

コートのサイズが少し大きいので袖が邪魔になると

手をつないだときに文句を言っていたことを思い出す。

苦手な美容院にも行って不慣れな整髪料も付けて

少しでも気に入ってもらいたくて我ながら頑張ったなと思う。

挙動不審で不細工な僕に

好きな人は会ったときから純粋に優しくしてくれて

約束をすべて叶えてくれた。

眩しいほど可愛くて綺麗で今でも変わらず可愛くて綺麗だから

そのことが嬉しいけど、悲しい。

 

電車で有楽町を過ぎるときに

グレープバインのライブを見に豊洲ピットに行った帰り

電車が停まって駅のホームで立ち往生して

手が悴む中をメールしたことも思い出す。

寒かったけどメールが本当に楽しくて嬉しくて幸せだった。

 

いくらでも思い出すことができるのに一向に思い出にすることができなくて

嫌になる。

 

帰って来て家の掃除をした。

取引先に聞きたいことがあって連絡したけど

未だに返事がない。

 

携帯を新しくして新規連絡先を知らせたことを

本当に最悪だったと思う。

何か良い知らせが舞い込んでくるんじゃないかという

浮かれたバカな期待が余計に悲しい。

ずっとずっと怖がらせていた自分を反吐が出るぐらい

憎くて仕方がない。

訊きたかったことの質問には

ひとつも答えてはもらえなかったけど

「ありがとう」と最後に言ってくれた。

けど、何にありがとうと言ってくれたのか

正直に言ってよくわからない。

話の流れから単純に察するには

「もう二度と連絡しなくなるなんて、ありがとう」ってことだと思うけど

早く話題を切り上げるのに適当な言葉が見つからなかったから、

無理やりにでも「ありがとう」と言ったのかなとも思う。

最後の最後まで、そんな切羽詰まった言葉を吐かせてしまった自分を

最低な人間だと思って呪いたくなる。

本心ではないだろう。

そこまで追い込んでいたんだなって思うとやるせない。

 

怖いということについてずっと考えている。

 

誰かに宛てて書いているわけじゃないから

ここにはなにもないけど

気持ちや感情、考えてることの整理に

ただ書き出したいのだ、当分は。

伝えたいって思っていたことが、たくさんあって、

でももう伝える術が何もないから。

せめて今だけは書くことを許してほしい。

 

その内にきっと、

なにもない毎日のなんでもないことだけを

書くようになっていくのだろう。